アラサー独身男子の日々

株の話題、交通ネタが多めになると思います。イラストはのをか様(Twittter@nowoka_)に描いていただきました。

熊本地震で通行止めを免れた阿蘇熊本間の道路『南阿蘇グリーンロード』と広域農道の意外な効能

この度の地震では数多くの方々が被害にあわれ、今もなお避難していて毎日不安な日々を過ごされている方もいらっしゃると思います。
力になれることは少ないですが、一刻も早い救助、復旧を祈っています。

熊本方面から阿蘇山へアクセスできる唯一の道路『南阿蘇グリーンロード』

今回の地震での道路通行止状況は赤の丸で示した阿蘇山西側、特に黒川地区周辺が大きな被害を受けました。阿蘇大橋の崩落もこのエリアで起きています。

kenplatz.nikkeibp.co.jp

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この地域は阿蘇のカルデラへの入り口となる交通の要衝で、赤丸の部分が通行止めになってしまうと阿蘇へ進入する道がほとんどありません。

また、一つ北の剣道45号も通行止めになってしまいました。

そんななかで、熊本方面から阿蘇にアクセスできた唯一の道が赤い四角で囲ったグリーンロード南阿蘇です。

 

現在ではミルクロードの通行止めも解除されているようですが、高森へのアクセスでは依然グリーンロード経由が近くて便利です。

ニュースではあまり取り上げられていませんが、物資の搬入や熊本への避難などで使える唯一の道路なので、かなり重要性は高いです。この道路、立派な2車線道路なのですが、国道や県道ではなく『広域農道』という分類の道路で実際の名称は『阿蘇南部広域農道』という名称です。今回通行止めを免れたこの広域農道ですが、見ていると広域農道には偶然にも災害への強さを感じられます。

広域農道とはどういう道路か?

広域農道
農村地域に散在する農地を一つの団地と捉え、集出荷・加工プロセスの一元化などにより産地としての市場競争力を高めることを目的とした農道。都市に対する環状道路もしくは幹線道路に対するバイパスとしての機能を持つこともあり、農村における生活水準の改善に資するとされる。この事業を「広域営農団地農道整備事業」と言い、その道路を一般に広域農道と呼ぶ。また、富山県などスーパー農道の呼称が主として用いられている地域もある。
参考:農道 - Wikipedia

 このように、目的地へ最短でつなげる道では無く、産業用道路としての性格が強いものとなっています。
主要道の渋滞等を避けて農業産品を移動させる事を優先しているため、大きな道路との接続はあまり良くありません。地図でもあまり目立たないように記載されていますし、入り口も案内が不親切です。

地方の方なら分かると思いますが、有名なものを除いて広域農道は地元民のみ知る抜け道という感じです。

多くの交通量を効率よくさばく事を目的としていないものの、トラックの走行を想定するため、アップダウンが激しかったり急カーブが多いものの道は2車線で整備されることが多く、ストレスなく走る事が出来ることが多いです。

グリーンロード南阿蘇のルートは被害を受けにくい

グリーンロード南阿蘇のルートはカルデラの山を超えるものの、トンネルや橋はありません。地形に沿って曲がりくねっています。理由は前述のとおりですが、これが奏功しました。グリーンロードのひとつ北、俵山トンネルは崩落してしまいましたが、グリーンロードはトンネルが無いので影響無し、橋も無いので崩落の心配も無し、またトンネルを使わないために徐々に高度を稼ぐ必要があり、尾根の上を走る場面が多くなっています。つまり土砂崩れの影響も受けにくい。

偶然ですが広域農道には災害に強い要素がそろっていました。今回、グリーンロードが通れたのは幸運もありますが、これらの要因が強いでしょう。

防災道路という考え方

当然、道路というのは目的地に早く到着できる事が最も大切ですが、防災の観点から道を設計するということも大切なのでは無いでしょうか。当然、平時には無用の長物になってしまうので、広域農道というスキームは防災道路を考える上でとても上手だと感じます。

農道の他に観光道路として整備するのもいいかもしれません(景色が良いのは尾根の上だから)。

今回のグリーンロードが通行止めを免れたという事実にそのように感じさせられました。